一般的には、100年以上前に発行されたコイン(通貨やメダル)をアンティークコインとして総称しています。
1934年にアメリカが互恵通商協定でアンティークコインを「100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」と説いたため、今では通説となっています。
歴史的な価値を持つアンティークコインは、もう二度と鋳造されることが無い希少性の高さとデザイン性に優れた美しさから人々を魅了し続け、収集家は世界的に増加傾向にあります。
古くは、紀元前27年にパクスロマーナ(ローマの平和)を実現した初代皇帝アウグストゥスも、美術的な価値が高いとされるギリシャ時代のコインを収集していたそうです。
アンティークコインは古代から現代まで世界の歴史に沿って、数多く存在します。
その中でも本当に希少性の高いコインは、神聖ローマ帝国時代( 962~1806年)のコインで、通貨単位を Ducat(ダカット)といいます。
神聖ローマ帝国は、古代ローマ帝国から継承された国で、最盛期にはイギリス・フランスを除く西ヨーロッパ全土に範囲を拡大し、約 300 の王国が連合して形成された複合国家です。
ダカット金貨は主に国をまたいで貿易に使用されていたお金になります。
現代で例えるならユーロのような通貨でした。
他国との交易に一番大事なのは信用で、粗悪な金貨では相手の信用は得られません。
その為、98~99.47%の純金で出来ており、当時の金貨の中で一番の純度を誇っていました。
このダカットが注目される理由は、当時の王国が現在の国の規模に比べてまだ小国で、それ故に、それぞれの国で発行されたダカットは非常に数が少なかったからです。
更に、国際的な戦争となった三十年戦争をきっかけに、第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、失われていったダカット金貨の希少性はさらに高くなっています。