イラン情勢で原油価格高騰

「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、ようやく厳しい寒さも和らぎ、春のうららかな日差しと共に各地から桜の便りが聞かれる季節となってまいりました。 年度末の喧騒の中にも、新生活に向けて真新しいスーツに身を包み、凛とした表情で街を歩く若者たちの姿を目にします。未曾有の超高齢化社会を迎える日本において、彼らが世間の荒波に揉まれながらも新しい時代を築き、これからの日本経済を支えてくれるであろう姿は、筆者には大変頼もしく、また神々しくも感じられます。

皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。

さて、そのような和やかな春の訪れとは裏腹に、世界情勢に目を向けますと、現在「原油価格の高騰」が金融市場および私たちの生活における大きな懸念材料となっております。皆様も連日のニュースで括目されていることと存じます。

原油価格高騰

現在の原油マーケットは歴史的な高値圏で推移しており、指標となる米国産WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物は1バレル103ドル台の大台に乗り、欧州の指標である北海ブレント原油に至っては115ドル台へと急騰し高止まりする水準となっております。

この異常とも言える高騰の背景には、イラン情勢をはじめとする中東の地政学リスクの緊迫化が挙げられます。直近の米国による停戦案の拒否報道などもあり、世界の石油輸送の要衝であり中東産原油の動脈とも言える「ホルムズ海峡」を巡る緊張状態が、供給網(サプライチェーン)寸断の恐怖を市場に与えています。さらに、OPEC(石油輸出国機構)および非加盟の主要産油国で構成される「OPECプラス」による戦略的な減産措置も複雑に絡み合い、市場には常に需給の逼迫感が漂っているのです。

そもそも「原油」と経済の繋がりとは

今回の話は原油価格が高騰している最中ではありますが、そもそも、なぜ原油価格がこれほどまでに世界経済を揺るがすのかという事にスポットをあててみたいと思います。

原油は「黒いダイヤ」とも呼ばれ、20世紀以降の人類文明と経済発展を根底から支えてきたエネルギー源です。地下から採掘されたままの精製されていない石油を指し、これを加熱・蒸留することで、ガソリン、軽油、灯油、ジェット燃料、そしてプラスチックや化学繊維の原料となるナフサなどが生み出されます。 つまり、原油は単なる「乗り物の燃料」に留まらず、私たちが日常的に使用する日用品、家電製品のパーツ、さらには農業における肥料やトラクターの稼働に至るまで、あらゆる産業の「血液」として機能しているのです。

そのため、原油価格が上昇いたしますと、物流における輸送コストや工場での製造コストがダイレクトに押し上げられます。これを経済用語で「コストプッシュ・インフレ」と呼びます。企業努力だけでは吸収しきれなくなったコストは、最終的にスーパーに並ぶ食料品や生活必需品の価格に転嫁され、世界的な「物価高」へと繋がっていく流れとなります。

オイルショックと「金(ゴールド)」の歴史的連動性

歴史を振り返りますと、1970年代に起きた二度の「オイルショック(石油危機)」の際にも、原油価格の暴騰が世界的な狂乱物価を引き起こしました。

1973年に発生した第1次オイルショック当時、1バレルわずか3ドル程度だった原油価格は、短期間で一気に12ドル近辺まで約4倍に跳ね上がりました。さらに、続く1979年の第2次オイルショックでは、そこから一気に40ドル近くまで急騰を見せたのです。当時の1桁から2桁前半の価格水準と比較いたしますと、現在の100ドルを優に超える価格がいかに歴史的な高値圏にあるか、そして実体経済に与えるマグニチュードの大きさがご想像いただけるかと思います。

このオイルショックによる物価高騰(インフレ進行)の時、皆様が銀行に預けている現金(法定通貨)の相対的な価値は大きく目減りしました。昨日まで1,000円で買えたものが、今日は1,200円出さないと買えなくなるという事態です。これに伴い、外国為替市場では各国の金利政策と思惑が交錯し、米ドル相場も非常に神経質な値動きを見せました。

こうした「通貨の価値が信じられなくなる」局面において、世界中の投資家がこぞって資金を逃避させるのが、古来より有事の安全資産とされてきた「金(ゴールド)」です。事実、オイルショックで紙幣の価値が急落する中、実物資産である「金」の価格は歴史的な急上昇を見せました。紙幣のように政府の都合で刷って増やすことができない金は、インフレの波を吸収し、その価値を保全する強固な力を持っていることが、過去の歴史において何度も証明されているのです。

インフレ時代に輝きを放つアンティーク金貨の真価

現在もまた、原油高を起点としたインフレの波が押し寄せており、金価格は高値圏で推移しております。しかし、ここで筆者が皆様に最もお伝えしたいのは、単なる金地金(インゴット)ではなく、金で作られた「アンティークコイン」の世界です。

単なる金地金は、日々の金相場やドル相場の乱高下に直接的な影響を受けます。しかし、弊社が取り扱うアンティーク金貨は事情が異なります。

アンティーク金貨には、金そのものが持つ「地金価値(マテリアルバリュー)」という、絶対にゼロにならない強固な底値が存在します。それに加えて、数百年の時を超えて現存する「歴史的背景」、今後二度と造幣局で発行されることのない「圧倒的な希少性」、そして当時の卓越した彫金師たちが手掛けた美しいデザインに対する「美術品としての価値(プレミアム)」が上乗せされているのです。

新しい硬貨はいくらでも鋳造できますが、過去の美しい金貨は、コレクターの手に渡ることで市場から姿を消し、年々その数を減らしていきます。富裕層や世界的なコレクターが、インフレヘッジ(物価上昇リスクの回避)の究極の形としてアンティーク金貨をポートフォリオに組み込むのは、この「地金価値+希少価値(プレミアム)」という二重のバリアが、不確実な時代において極めて強固な資産防衛となるからです。

原油高や物価上昇のニュースは、決して明るい話題ばかりではありません。しかし、歴史を紐解けば、人類は幾度となくこうした経済の荒波を乗り越え、力強く発展を遂げてまいりました。現在の状況も、新しい経済の枠組みへと移行する一つの過渡期であり、私たち一人ひとりが「大切な資産をどう守り、未来へ紡いでいくか」を改めて見つめ直す、前向きな好機として捉えるべきだと私は感じております。

急ぎ早の話になりましたが、今回は緊迫する中東情勢と原油価格の高騰というマクロな視点から、アンティーク金貨の持つ真の価値についてお話しさせていただきました。 話自体は皆さんがご存じの事ばかりだと思いますが、皆様の資産形成や、少しでも安心な未来を築くための何かの参考になれば幸甚です。