日本各地で猛暑日続出

梅雨も明け、いよいよ本格的な夏の到来を感じる季節となってまいりました。
連日のように厳しい猛暑が続いておりますが、突き抜けるような青空と、耳に響く蝉時雨(せみしぐれ)には、生命の力強いエネルギーを感じずにはいられません。

皆様におかれましては、この厳しい暑さの中、いかがお過ごしでしょうか。

さて、7月には「海の日」という国民の祝日がございました。
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」という趣旨で制定されたこの日は、四方を海に囲まれた私たち日本人にとって、非常に意義深い日ではなかろうかと感じております。
海は、古来より私たちに豊かな海の幸をもたらし、穏やかな気候を育んでくれました。しかしそれ以上に、海は「世界と繋がる道」でもありました。本日は、この広大な海を舞台に繰り広げられた歴史的ロマン、とりわけ「大航海時代」の深淵に想いを馳せつつ、現代を生きる私たちが心身ともに健やかに、そしてポジティブに夏を乗り切るための知恵についてお話しさせていただきたく存じます。

危機が生んだイノベーション
――その原点は香辛料への渇望だった――

海と世界経済の繋がりを考えるとき、歴史上最もダイナミックな変革期と言えるのが、15世紀から17世紀にかけての「大航海時代」です。

先人たちはなぜ、命の危険を冒してまで未知なる海へ帆を張ったのでしょうか。
単なる冒険心だけではなく、そこには当時のヨーロッパ社会が抱えていた「切実な経済的危機」がありました。

当時、肉食中心のヨーロッパにおいて、防腐剤や臭み消しとして使われる「胡椒(こしょう)」をはじめとする香辛料は、まさに命を繋ぐための必需品でした。

しかし1453年、オスマン帝国によって陸の交易路(シルクロード)が事実上封鎖されると、香辛料の価格は文字通り「金(ゴールド)と同等の重さ」で取引されるほど暴騰してしまったのです。

「陸が駄目なら、海から直接アジアへ向かうしかない」。この強烈な危機感と渇望が、造船技術(キャラベル船)や航海術(羅針盤や天体観測)という当時の最新テクノロジーを一気に開花させました。絶体絶命のピンチが、結果として人類をかつてないイノベーションへと駆り立てたのです。

現代の私たちが直面しているサプライチェーンの分断や、地政学的なリスクといったビジネス環境の激変も、ある意味で当時のヨーロッパ社会が抱えた危機に似ているかもしれません。

しかし、危機こそが新しい航路(ビジネスモデルや技術革新)を開拓する最大の原動力になるのだという歴史の事実は、現代を生きる私たちに「逆境を乗り越える勇気」を与えてくれるのではなかろうかと、個人的には感じております。

「株式会社」は海から生まれた

以前にもお話したことがありますが大航海時代の歴史を紐解く上で、もう一つ忘れてはならないビジネスの偉大な発明です。それが、現代の資本主義の根幹を成す「株式会社」という仕組みの誕生ということは周知ご存じのことだと思います。

未知の海を渡る航海は、莫大な利益(香辛料など)をもたらす一方で、そのリスクも計り知れないものでした。嵐による難破、海賊の襲撃、未知の病などにより、無事に港へ帰還できる船はほんの一握り。
一人の王様や一人の大富豪がすべての資金を出資するには、あまりにもリスクが大きすぎたのです。

そこで1602年、オランダの商人たちは画期的なアイデアを生み出しました。「多くの市民から少しずつ資金(出資金)を集め、その証明書(株券)を発行する。もし船が沈めば出資した分だけの損失で済むが、無事に帰還して莫大な利益が出れば、出資額に応じて配当を分配する」という仕組みです。これが、世界初の株式会社と言われる「オランダ東インド会社」の誕生です。

私たちが日々のニュースで目にする日経平均株価や、世界中の人々が熱狂する株式市場のルーツが、実は「荒れ狂う海をみんなで乗り越えるための知恵」から生まれたものだと考えると、大変感慨深いものがございます。リスクを恐れて立ち止まるのではなく、リスクを賢く分散し、皆で共有しながら未知の世界へ挑戦する。この大航海時代の商人たちの逞しさこそが、現代の経済成長の礎を築いたのだと言えるでしょう。

国境を越えた「信用の証」 は実物資産

こうして東西の航路が繋がり、香辛料や絹、陶磁器といった見知らぬ品々が世界中を行き交う「グローバル経済」が幕を開けました。しかし、文化も違い、言葉も全く通じない異国の人々と、当時の商人たちは一体どのようにして取引を成立させていたのでしょうか。

インターネットも銀行口座もない時代に、取引を成立させる唯一の手段は「誰もが価値を認める共通の言語」を用いることでした。その共通言語の役割を果たしたのが、世界共通の価値基準である「金(ゴールド)」や「銀」で作られた硬貨です。

特に有名なのが、スペインが中南米の銀を使って大量に鋳造した「8レアル銀貨(ピース・オブ・エイト)」や、精巧な「エスクード金貨」です。これらは単なるお金ではなく、国境や人種を越えて「これは本物であり、確かな価値がある」と認められた【世界最初の基軸通貨】でした。

異国の商人たちは、差し出されたその美しい硬貨の重さと輝きを見て、言葉の通じない相手を信用し、大切な商品を引き渡したのです。

世界経済を発展させてきた根底にあるものは、いつの時代も「人と人との信用」に他なりません。私たちが取り扱う歴史的なコインも、単なる古い金属の塊ではなく、先人たちが命懸けで海を越えて築き上げてきた「信用のリレー」のバトンであり、人類の経済活動の息吹を今に伝えるタイムマシンのような遺産なのだと、そのように感じております。

激動の海を越えるための「無形の資産」

時代は大きく移り変わり、現代の商取引はデジタル空間で一瞬にして行われるようになりました。
AI(人工知能)が発達し、あらゆるものが効率化されていく現代社会においては、一見すると「人間の温もり」が入り込む余地が少なくなっているように感じられるかもしれません。

しかし、どれほどテクノロジーが進化しようとも、最後に決断を下すのは人間であり、ビジネスの根底を支えているのが「相手への信用」であるという真理は、大航海時代から何一つ変わっていないと私は確信しております。

かつて日本人が世界から高く評価されてきた「誠実さ」や「約束を守る義理堅さ」、そして「相手を思いやるおもてなしの心」。これらはバランスシート(貸借対照表)には決して載ることのない、目に見えない無形の資産です。
不確実で変化の激しい時代を航海していく私たちにとって、この「誠実さ」という羅針盤をしっかりと持ち続けることこそが、最も確実で揺るぎない資産防衛であり、未来を切り拓く大きな力になるのではなかろうかと思えます。

厳しい猛暑を乗り切るための「海」にまつわる健康の知恵

さて、話は少し日常へと戻りますが、この広大な海は私たちに、厳しい夏を健やかに乗り切るためのヒントも与えてくれています。日々の生活の中で少しでも皆様のお役に立てればと思い、海にまつわる健康の知恵を二つほどご紹介させていただきます。

一つ目は、「天然の海の塩(自然塩)」を活用した水分補給です。
猛暑の中では、汗とともに体内の大切なミネラルが大量に失われます。ただの水をガブ飲みするだけでは、かえって体液の濃度が薄まり、疲労感や熱中症のリスクを高めてしまうそうです。そこで、ミネラルウォーターにほんの少し(ひとつまみ程度)の「天然の海塩」を混ぜて飲むことで、体液に近い浸透圧となり、体内のミネラルバランスを効率よく整えることができると言われています。精製された食塩ではなく、海の恵みであるマグネシウムやカルシウムを豊富に含んだ自然塩を選ぶのが、夏バテを防ぐ小さなコツだそうです。

二つ目は、「波の音」がもたらす自律神経の回復効果です。海岸に打ち寄せる波の音には、「1/fゆらぎ(えふぶんのいちゆらぎ)」と呼ばれる自然界特有のリズムが含まれています。このリズムは人間の心拍や生体リズムと非常に親和性が高く、耳にするだけで脳内の自律神経が整い、深いリラックス効果(副交感神経の優位)をもたらすことが科学的にも証明されています。
実際に海へ足を運ぶのが難しい場合でも、就寝前や休憩時間に、スマートフォン等で「波の音」や「自然の環境音」を数分間だけ流して目を閉じる。それだけでも、日中の緊張した脳がスーッと休まり、質の高い睡眠へと繋がるそうです。

ゆったりと構える夏の過ごし方

情報が溢れ、常にスピードを求められる現代社会において、私たちはつい「早く結果を出さなければ」と焦ってしまいがちです。しかし、広大な海が数億年という果てしない時間をかけてその姿を保ち続けているように、本当に価値のあるもの、本当に強いものは、一朝一夕には出来上がりません。

大航海時代の船乗りたちが、風を読み、星を仰ぎ、自然のリズムに身を任せながら目的地へと進んだように、私たちも時には焦る気持ちを手放し、「時間を味方につける」という感じで、ゆったりとした感覚を持つことが大切ではないでしょうか。

資産形成におきましても、短期的な相場の上下に一喜一憂するのではなく、長い歴史の中で価値を育んできた本物の資産と共に、ご自身やご家族の人生の時間を豊かに楽しむ。そんな穏やかな心持ちこそが、真の豊かさ(ウェルビーイング:Well-being)に繋がるのだと私は信じております。

急ぎ早の話になりましたが、今回は「海の日」にちなみ、大航海時代の歴史的ロマンと、夏の健康法についてお話しさせていただきました。

話自体は皆さんがご存じの事ばかりだと思いますが、皆様がこの猛暑を健やかに乗り切り、ポジティブな気持ちで明日への航海を続けていかれるための、何かの参考になれば幸甚です。

今年の夏もことのほか暑さが厳しいようです。皆様におかれましても、どうかご無理をなさいませんよう、お身体を第一にご自愛くださいませ。