金価格の高騰が凄い

今年は異常気象の影響もあり、例年と比べ桜の開花が遅れながらも、ついに桜前線が北海道に到達しました。

最悪だったコロナ禍もいくらか落ち着き、各企業では新年度を迎え、フレッシュマンなる若者が夢と希望を膨らませ、凛とした顔つきで町中を闊歩する姿は筆者には神々しくも感じます。

日本では少子高齢化が更に進み、未曽有の超高齢化社会と変貌する時代に、今の若者が世間の荒波に揉まれつつも今後の日本経済を支えていき、新しい日本の時代を築いてくれるであろうと思うと、気候も温かくなっていくことから心も陽気になって行きます。

そのような中で、現在金価格の高騰が続いています。

4月に入ったこの時期に地金小売価格では1g13,000円を超えてきました。

過去の金価格では安い時期に、1g1,000円位であったにも関わらず、現在では、ゆうに10倍以上にも高騰したという事は周知の事実だと思います。

「あの時に金を買っておけば今頃は大金持ちだったのに・・・」と誰しもが思うものです。

一方、ここまで金価格が上昇していると過去の価格を知っていれば、「これから下がる可能性もあるから手が出しにくいな〜」となるのも常であると思います。

そもそも「金」とは

金は原子番号79の元素で、元素記号はAuです。

人類史上古くから知られている個体金属であり、日本では「こがね」や「おうごん(黄金)」とも呼ばれていました。

古より多くの地域で価値が認められ、宝飾品としては人類最古の金属であり美術工芸品に用いられていました。

銀や銅と共に貨幣として利用され、現在に至るまで投資や蓄財の対象となっています。

また金は、金属としては重いが軟らかく、非常に薄く延ばしやすい特性があり、1gで数平方メートル広げることが可能で(一説では東京ドームと同じ位の坪数となるとのこと)長さでは約3km位になるそうです。金属の中では3番目に電気を通しやすいことから、工業用品の電気伝導体として利用されることも多いです。

特に現在ではコンピュータが必須の時代ですので、電気抵抗が少なく延性が高い金の需要は高まるばかりです。

そして、電磁波をよく反射することからも宇宙服や人工衛星、飛行機の電磁シールドにも使用され金の用途は留まることがありません。

尚、食用として使用されることも珍しくなく、厚生労働省で既存添加物89番、E番号では着色料E175と分類されています。金箔や金粉は料理の味や栄養には影響しませんが、華やかに見える視点から、お酒や料理の食材に用いられています。

金を食するのは日本に限らず、インドでは「バーク」と呼ばれ今も食されていて、ヨーロッパでは16世紀ころから食べる風習があり薬用酒「ゴールドワッサー」は古いリキュールとして有名です。

現在の宝飾品では「カラーゴールド」と呼ぶ金合金もあり、銀や銅、パラジウムの配合により様々な色調を出します。

イエローゴールドは18Kの場合、金750%に対し銀と銅の割合を調整し作成するとのこと。グリーンゴールドは18Kの場合、金750%に対し銀の合金を合わせ作成しブルーゴールドとも呼び、日本では「青割り」「青金」と呼ばれています。ピンクゴールドは18Kの場合、金750%に対し銅の合金を配合し作成するとのことです。その他にレッドゴールド、アルミニウムとの合金で作るパープルゴールドやニッケルパラジウムを配合した合金ホワイトゴールド等があります。

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金産出国で有名だった日本

 かつて日本では多くの金が算出され、マルコ・ポーロの「東方見聞録」では「黄金の国」と呼ばれ日本産の金がヨーロッパで出回りました。

日本の戦国期には甲斐国(現在の山梨県)の黒川金山や湯之奥金山が産出し、江戸初期までは玉山金山、朴山金山、白根金山が莫大な産金で栄えました。しかし、寛永(1624年~1644年ころ)が過ぎるころには日本の金産出に陰りが見え金産出量は徐々に減っていきました。

近年では「東洋一の金山」と呼ばれた北海道鴻之舞金山は昭和初期に採算ベースに乗る金を掘りつくし、当時日本国内3位の金産出をしていた大分県の鯛生金山も1972年に閉山しました。

現在では1985年から採掘が開始されている鹿児島県の菱刈鉱山では年間約4トンの産出をしているだけになっています。

しかし、現在商業目的では金の産出が不可能視されているため現実的ではありませんが、青森県の恐山では金の異常濃集体が発見されたのです。

地質調査によると金の含有量は鉱石1トンあたり平均で400g、場所によっては6,500gにも達する見通しがあることが判明されましたが恐山一帯が国定公園に指定されていて、土壌には毒性を有するヒ素が高濃度に含まれ採掘をした場合作業員の命に危険に及ぶこともあり現実的には不可能なのです。

金産出国を世界規模でみると1880年代から金産出を開始していた南アフリカ共和国の「ヨハネスブルグ」は世界で最も金を産出する都市として知られていましたが2004年には1/3迄減少しました。

現時点で世界最大の金産出国は中国の約372トンです。2位にオーストラリア約313トン、3位ロシア約310トン、4位カナダ約205トン、5位アメリカ約173トン、南アフリカは11位88トン、かつて黄金の国と呼ばれた日本は46位約7トンです。

金は資源なので限りがあり永遠に産出出来るものではありません。

過去に金の産出国で有名だった国も過剰な採掘により採算が取れなくなり産出量が低下しまい閉山をする結果となりましたが、現在の産出国は昨今の金価格の高騰を見て、金産出の調整をしているようです。

今回の話は金価格が高騰している最中ではありますが、そもそも、金とは一体何なのかという事にスポットをあてました。

話自体は皆さんが知っている事柄ばかりだと思いますが、何かの参考になれば幸甚です。